ガンマナイフ治療

ガンマナイフ治療とは

ガンマナイフとは、半球状に配置された201個の線源(コバルト60)から出るガンマ線を一点に集中して照射することで、頭の中の病変を治療する定位放射線外科治療装置です。開頭する必要はなく、主に脳腫瘍や脳動脈奇形などを治療します。メスで局部をえぐりとるようにガンマ線で集中照射することから、「ガンマナイフ」と呼ばれています。病変部に正確、かつ限局して照射することにより、正常部への放射線被爆を最小限に抑えながら、病巣部への高線量を集中照射することができます。誤差は、0.5mm以下です。

ガンマナイフ治療

ガンマナイフは、従来の放射線治療のような開頭手術の補助的治療にとどまらず、症例によっては頭蓋内疾患の治療の主役ともなりえるものです。対象疾患は、脳腫瘍全般・脳血管奇形・三叉神経痛やパーキンソン病に伴う手のふるえ等、脳外科が扱う疾患の多くの分野にわたり、それぞれについてガンマナイフは主要の治療法の一つとして威力を発揮します。歴史の浅い治療法のため、数十年後の合併症など長期的問題については未解決ですが、脳に病気をかかえた患者様に対しては、低侵襲(頭を切らない)で、しかも短期間(入院3日間)で治療ができ、一定の効果が期待できる有力な手段といえます。

利点/欠点/副作用

利点

  • ① 従来の手術では到達困難だった脳深部の病変や危険な部位でも治療可能です。
  • ② 手術でとりきれなかった腫瘍の再発防止にも有効です。
  • ③ 全身合併症のため手術危険度の高い人や、高齢者でも安全に治療ができます。
  • ④ 開頭手術後に問題となる感染や麻痺などの合併症・後遺症はほとんどありません。
  • ⑤ 入院期間の短縮:入院期間は原則として3日間です。退院直後から通常の生活に戻れます。仕事も可能です。
  • ⑥ 経済的利点:治療には健康保険が適応されます。通常の脳外科手術で必要な回復期の入院・治療が不要なため、経費を減らせます

欠点

  • ① 原則として3cm以上の大きな病変には適しません。大きな腫瘍の場合は、手術で3cm以下に縮小させてから治療を行なうと、効果が発揮されます。
  • ② 治療結果がすぐにはできません。病巣が縮小もしくは消失するまで数ヶ月から数年を要します。ただし転移性腫瘍の場合は効果が早く、1ヶ月以内に消失するものもあります。

副作用

治療後に周辺組織が浮腫や壊死を起こすことがありますが、ほとんどのケースで内服や点滴で治療可能です。当院では治療後の浮腫による症状悪化を防止するために、治療前後から脳浮腫防止目的の点滴もしくは内服処方を行っています。
放射性壊死の合併については治療後長期に経過観察を行い対応する必要があります。通常の放射線治療に伴うような脱毛はありません。ただし皮膚の近くに病変があれば、同部に一致して局所の脱毛を生じることがありますが、数ヶ月後にまた生えてきます。

治療手順

① 病変の位置を0.1mm単位で計測するために、まず計測用の金属フレームを4本のピンで頭部に固定します。
当院では局所麻酔と静脈麻酔を併用することにより、無痛でピンを固定しています。

② 頭部にフレームを固定した状態でMRIあるいはCTを撮影します。
(脳動静脈奇形の場合は脳血管撮影を追加します)
撮影した画像をコンピュータに取り込み、病巣の位置と大きさを計測し、治療方法を計画します。治療計画の間は患者様は一旦病室で待機していただきます。 フレームをつけながらでも水分接種可能で、トイレ移動もできます。

③ 約1時間の治療計画の後、患者様はガンマナイフ室に移動します。 頭部の固定装置のメモリをコンピュータの計算結果に合わせて、ガンマナイフの照射位置をあわせます。病変の大きさ・形状に合わせて、数回位置を変えて、10分前後の照射を繰り返すと治療が完了します。 全体の治療時間は個々の症例によって違いますが、平均1時間前後です。
なお治療途中で休憩も可能です。

④ 治療終了後はすみやかに頭部のフレームをはずします。縫合の必要はなく、圧迫止血のみです。 全身麻酔や開頭は行ないませんので、いわゆる手術的侵襲はなく、当日の夕食から普通に取れます。

入院期間は原則として3日間です。
退院直後から通常の生活が可能です。
退院後は当院脳外科もしくは、かかりつけの病院にこれまでどおり通院していただきます。 治療効果・副作用を見るために3~6ヶ月ごとに外来でMRIもしくはCTを行ないます。

適応疾患

ガンマナイフは構造上、頭部の病変が適応となりますが、副鼻腔や上位頚椎(C1~C2)まで治療可能の場合もあります。大きさは3cm以下のものに威力を発揮するとされていますが、治療計画ソフトのバージョンアップにより、ショット数制限もどれたため、より大きめで、多発性の病変にも可能な限り対応するようにしています。

脳腫瘍

  • ① 転移性脳腫瘍:もっともガンマナイフの治療効果の高い腫瘍です。
    病理組織に関わらず90%程度で有効です。(最適照射線量に違いはあります)。なかには径30mm以上の大きなものでもガンマナイフで消失するものもあります。多発でも15ヶ所くらいまでなら1回で治療可能です。それ以上に病変が多いときは2期的に治療することも可能です。
    原発巣が治療されていることが理想ですが、適応はその限りではありません。転移性脳腫瘍の進行を抑えて、有意義な生活が長く出来るようにすることを目的とします。
  • ② 聴神経腫瘍:70%以上の腫瘍縮小効果が得られます。 開頭手術で時に問題となる顔面神経麻痺の合併は、照射線量の調整にてほとんど生じません。聴力の温存は困難ですが、小さい腫瘍であれば保たれる場合もあります。まためまい症状を合併することがありますが内服でコントロール可能です。
  • ③ 髄膜腫:腫瘍発育抑制もしくは縮小に有効です。 術後残存腫瘍の再発防止に威力を発揮しますが、径20mm以下程度の腫瘍であれば、開頭手術を行なわずにガンマナイフのみでコントロールすることも可能です。
  • ④ 下垂体腫瘍:下垂体腫瘍は増大すると視神経を圧迫して失明に至ります。 視神経温存による視力・視野障害防止目的にガンマナイフは威力を発揮します。 すでに腫瘍が視神経を圧迫している場合は、手術により腫瘍を縮小させてからガンマナイフを追加することで効果を発揮します。 またホルモン分泌性の腫瘍についても、照射線量を多めにすることで過剰分泌を抑制することが可能です。 なお治療後に下垂体機能低下を生じて、甲状腺機能低下や尿崩症を生じることがありますが、内服などでコントロール可能です。
  • ⑤ 神経膠腫:確実な効果は期待できませんが、腫瘍の発育をある程度防止することは可能です。大きい病変であることが少なくないため、少ない線量を時期を分けて複数回照射することで効果を発揮することもあります。

脳動静脈奇形

  • 出血防止が目的ですから、完全消失が治療目標となります。一般に治療後1年で30%、2年で60%、3年で70~80%が完全に消失します。
    完全消失するまでは出血の危険性が残ります。したがって、治療しても出血の危険性が2~3年はあることになります。ただし完全焼失しないまでも縮小すれば出血の程度は軽くなります。
    頭手術の場合と比べて、治療後出血の危険がなくなるまでに時間がかかることが欠点ですが、一般に脳動脈静脈奇形の手術は難易度が高く手術合併症は少ないとはいえません。治療手技の安全性がガンマナイフの大きな利点といえます。なお治療5年経過してもはっきりとした残存部があれば、ガンマナイフ追加も検討します。
    なお、ガンマナイフ後浮腫にて痙攣が増えることもありますが、内服でコントロール可能です。

三叉神経痛

  • 有効度が高く(70~80%)、一般に痛みはガンマナイフ後平均1ヶ月で消失してゆきます。早ければ翌日に痛みが消失する場合もあります。副作用として顔面の感覚障害が10%弱にみられます。内服で痛みのコントロール困難な場合は適応となります。特に高齢者や神経減荷術後の再発例に対しては良い適応となります。

パーキンソン病

  • 手のふるえ(振戦)に対して、50%以上で有効です。ただし治療効果が現れるまでは数ヶ月かかることがあります。左右の手のふるえを1回で治療することはできないため、症状の強い方から治療を行なうことになります。また筋固縮・無動など他の症状には効果はありません。
※現在保険適応外です。

癌性疼痛

  • 癌末期に特有な全身の痛みに対して有効性が確認されており、当院でも治療を開始しました。
    下垂体柄に相当量の放射線を照射することで数日後に疼痛緩和効果が得られています。長期的合併症出現の可能性があり、誰にでも勧められる治療ではありませんが、モルヒネで副作用が強い場合など効果が期待されます。
※現在保険適応外です。
ガンマナイフ治療の適応決定に際しては、臨床症状・画像所見を慎重に検討した上で判断します。
そのため症例によっては(病変が大きすぎるときとか・ガンマナイフが有効でない疾患であるとか)、従来の脳外科手術もしくは経過観察をおすすめすることもあります。

受診方法

ご持参いただく物

  • 紹介状
  • MRIまたはCTフィルム等
  • 保険証及び医療証等
  • お薬手帳など服用薬がわかるもの

まずは、患者様もしくはご家族の方が外来診療をご予約ください。
治療の適否や治療内容について担当看護師がご案内した上で診察日を決定致します。

ガンマナイフセンター長:堀江 周二

電話:042-674-1515
FAX:042-674-1616
「ガンマナイフ治療」とお申し出ください。

医療機関の先生方へ

  • ※ 緊急性を要する場合
    転移性脳腫瘍など緊急性を要する場合は、ご紹介いただければ早急に治療予約をお取りいたします。また基本的に転移巣の数の制限はありませんのでご遠慮なくご紹介ください。
  • ※ その他
    三叉神経痛・脳動静脈奇形についても治療を行っております。

費用

医療費

70歳未満 70歳以上
3割負担:約18万円 3割負担:約9万円
1・2割負担:57,600円

食事代

260円/1食

ご利用の場合

個室利用:10,500円/1日
おむつ代、診断書料など

ガンマナイフ治療は、保険診療が認められています。 (パーキンソン病、癌性疼痛に対するガンマナイフ治療は保険適応外)

治療実績