当院で２０２２年に手術を受けられた、主な患者さんの画像と略歴です。
髄膜腫（８例）、頭蓋咽頭腫（５例）や下垂体腫瘍（１４例）、聴神経腫瘍（５例）の患者さんが多く手術を受けられました。
重度の後遺症を生じた方は一人もいませんでした。
また、後出血などで再手術となった患者さんも０でした。

ほとんどの方が手術の前日に入院され、術後７～８日目で退院されています。
手術時間は最短１時間２２分から最長でも5時間８分、平均２時間１０分でした。
入院期間の平均は下垂体腫瘍で11.4日、良性脳腫瘍の方で8.5日でした。
術後１日目の昼から食事、２日目からシャワー浴、３日目には洗髪もできています。

手術件数へ

① 下垂体腺腫（非機能性腺腫　両耳側半盲） ５０代 男性

大学で映像の授業を教えている方です。
数か月前から視野が狭くなり、視力も低下してきたので眼科を受診し、当院に御紹介頂きました。
一時は仕事をあきらめなくてはならないと不安に思っていたようです。
MRIで脳下垂体に腫瘍が見つかり、鼻から摘出しました（手術時間１時間１２分）。
腫瘍はすべて取りきり、視野は正常となり視力も元に戻って、元のお仕事で活躍されています。

② 下垂体腫瘍（非機能性腺腫　両耳側半盲　下垂体機能低下症） ６０代 男性

他院から全身状態が悪いために長時間の手術ができないので、放射線治療を勧められて当院に紹介となりました。
両側の視野が殆どかけていて、よく隣の人とぶつかるといった症状で気付かれました。
放射線治療では早期の回復は困難であり、もともとある下垂体からのホルモン分泌低下も悪化することが予測されたことから、手術で全摘出しております。
術後は視野、視力とも正常化し、元気に通院されています。
手術時間は1時間２０分でした。

③ 髄膜腫（左蝶形骨縁髄膜腫　左視力低下）　７０代　女性

半年ほど前から視力低下と頭痛があり、眼科を受診して見つかった脳腫瘍です。
前医では外科手術は困難であり、術後は右の手足が動かなくなる危険性があると言われて当院を受診されました。
腫瘍は髄膜腫といった良性腫瘍で、血管は豊富に入っており、直径も６センチを超えていました。
手術は４時間で全て摘出、左の視力は0.2から1.2に改善しました。
心配された合併症は、神経モニターを付けて慎重に摘出したので皆無でした。
まだ元気にお仕事を続けられています。

④ 前庭神経鞘腫（聴神経腫瘍　左聴力障害　めまい）５０代　女性

２０代の頃から左耳に難聴があり２年前にはほとんど聞こえなくなったとのことです。
その際に施行したMRIで聴神経に腫瘍が見つかりましたが、前医では経過観察されていたそうです。
今年になりめまいをたびたび起こすようになり、治療が必要と判断されて当院に紹介されました。
検討した結果、ガンマナイフ治療では腫瘍の縮小効果が少ないと判断し、手術を行いました。
手術では全提出が可能で、元気に退院されております。
術後に軽い顔面神経麻痺がおこりましたが、半年後には回復しました。

⑤ 脊髄腫瘍（神経鞘腫　右上下肢運動障害）　６０代　女性

右手足の動きがぎこちなくなったとのことで前医を受診し、MRIで脊髄に腫瘍が見つかり紹介となりました。
神経を覆っているさやが腫瘍化する神経鞘腫があり、頚の後ろから摘出しました。
腫瘍は全摘出され、症状も改善傾向にあります。

⑥ 巨大下垂体腺腫（LH-FSH産生腺腫　両耳側半盲　視力低下　下垂体機能不全）３０代　男性

両側の視野が狭くなり、視力も徐々に低下したため眼科を受診して異常を指摘されました。
すぐに当院に紹介となり、５センチ近い大型の巨大下垂体腫瘍が見つかりました。
また、集中力がなく、全身の倦怠感も強いことがわかり、ホルモン検査をしたところ重症の下垂体機能低下症も見つかりました。
とても大きく固い腫瘍のため、２回に分けて摘出しました。
術後は視野、視力とも元に戻り、ホルモンの補充療法も開始して元気いっぱいになりました。